2021年度福武教育文化活動助成事業 ホタル観察・川の水調べ(報告:川の水調べ)

急な予定になりましたが、延期になっていた川の水調べをやっと行うことができました。

案内記事

中間報告

寒くなってきたので中に入っての生き物調べはできませんでしたが、稲刈りが終わって川(用水路)の水量が減っていたので川底の観察などはしやすくなっていました。

目的

活動の詳細・目的は案内にもありますが、改めてこちらにも記載します。

ゲンジボタルは水質階級2(ややきれいな川)の指標生物となっています。少し離れた祇園用水上流ではゲンジボタルを見ることができますが、同じ祇園用水でも自宅周辺ではゲンジボタルは住んでいません。川(用水路)の様子や水質、周辺環境を違いを観察して、自宅周辺でもホタルを見ることができる環境なのかどうかを確認します。

また、川のゴミは人間が捨てたものが由来のため、周辺に民家が増えるに従って川の中に残るゴミの量は増えていくと思います。川と周辺環境の違いを見ながら、実際に川の中の様子(ゴミ、水の量、色など)が変化しているかどうかを確認します。

川の様子を確認しながらの道路のゴミ拾いを通して、海まで続く環境の繋がりを感じ取ってもらいたい、と考えています。

実施場所

川の水調べの内容

川の様子の観察

  1. 水の量
  2. ゴミの量
  3. 水の透明度・色
  4. 水面の様子
  5. 水のにおい
  6. 観察できた生き物の種類

なぜ?なぜ?BOX 川の調査隊 No.3「遊べる川のために、わたしたちも水質調査法を考えてみよう!」公益財団法人 河川財団)より引用

水質検査の測定項目

  1. COD(化学的酸素要求量)
  2. アンモニウム態窒素
  3. 亜硝酸態窒素
  4. 硝酸態窒素
  5. リン酸態リン

使用キットは川の水調査セット(株式会社 共立化学研究所)を使用しました。
各項目の説明はキットのドキュメントを参照してください。

活動の様子

百間川(原尾島橋下)の水調べ

いつもは渡って登校する橋ですが、今回は橋の下の草の中を進んでいきます。

こんな感じで、草に絡まったり水の底にゴミも落ちて(流れて)います。(写真は別日)

川の近くで様子の観察と、みんなで水質検査をした後は学習ワークに記録します。

普段入る事の少ない草の中でも子ども達はぐいぐい前に進んでいました。

小さい魚を捕まえようと網を構えたり、数珠玉やススキを取ったり、水調べだけでなく秋を見つけて楽しんでいました。

祇園用水下流(新田サイフォン前)の水調べ

百間川の後は、川に流れ込む前の用水路(祇園用水)の観察と水質検査を行いました。

今回、偶然ゴミを回収するベルトコンベヤーが動いていたので、みんなで見せてもらったり話を聞かせてもらった後に、さっきと同じように観察と水質検査をしました。

先ほどの百間川では水面に油が浮いている様子を「見たことが無いから分からない」と言っていた子ども達でしたが、ここでは油の様子を観察することができました。

川の様子が汚れている事は決して良くありませんが、経験できたことは良かったと思います。

祇園用水上流までのゴミ拾い

午後の部は、同じ川(用水路)の上流での水調べですが、場所による川の様子の違いやゴミの量を体験してもらいたいと思い、希望者は歩いて上流まで向かいました(約2.5km)。

また、川(最終的には海まで)のゴミが増える原因を体験してもらう事と、ゴミで汚さないようにする気持ちを持ってもらうために道路のゴミ拾いをしながら歩いて行きました。

途中で四つ葉のクローバーを探す寄り道をしたり、斜面の急な土手は危ないのでゴミがあっても諦めましたが、最終的には30Lのゴミ袋一杯分のゴミを拾うことができました。

風や雨水が良く通る道路上にはゴミが少なく、引っ掛かりのある植え込みや草に混ざってゴミが残っている事も、実際に探しながら拾っていくと分かりやすかったようです。
最初は植物に紛れて見つけられなかったゴミも、途中からは子ども達だけですぐに見つけてくれました。

祇園用水上流(祇園大樋前)の水調べ

ゴミ拾いが終わった後は、現地集合の子ども達とも合流して最後の水調べを行いました。

釣りをしていた方に声をかけて子ども達も一緒に釣りをさせてもらったり、網でホタルの餌になるカワニナを捕まえたり、川の中には入れませんでしたが楽しんでいました。

川の水調べでは、川の様子(ゴミ、透明度など)や他の水質検査の項目は改善していましたが、なぜかCODは一番高くなりました。
後日、改めて追試をする予定ですが、汚れが原因と言うよりはプランクトンなどが多いのかな?とは考えています。

所感・感想

普段、意識せずに眺めたり通っている川や用水路ですが、改めて水の流れと人の暮らし、環境について体験しながら考えてもらえる機会になったのでは、と考えています。

実際に歩いて川の様子が変わることを実感でき、道路上にはゴミが少ないけれど草の中には残っているので、ゴミが少ないのではなく、道路のゴミは風や雨水で川に流されている事も分かってもらえたかな?と思っています。

上流の水調べではCODだけが高くなっていましたが、他の指標からは汚れよりは別の原因と考えられるため、「CODが高い=汚れている川」ではなく、全体の観察結果から総合的に考えてもらえるいい機会になったと思います。

新型コロナウイルス感染症の影響で当初の予定から大幅に変更しての体験学習になりましたが、地域の川や水環境について、小学生が歩いて行ける範囲で違いを体験でき、環境への学習ができた事はとても良かったと思います。

追記

COD値が乖離した確認行いました。また、子ども達の観察結果も掲載しています。

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